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進め方を、ひとつずつ。

親族内・従業員・第三者への譲渡。株式譲渡と事業譲渡の違いまで、急がず並べて整理します。

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株式譲渡と事業譲渡の違いは?どちらを選ぶか(売り手目線でわかりやすく)

2つの方法は「何を売るか」が根本的に違う 会社を第三者に引き継いでもらう方法は、大きく2つあります。違いは「何を売るのか」です。 株式譲渡……会社の株式(経営権)を売る方法。買い手は会社をまるごと引き継ぎます。社長(株主)が代わるだけで、会社そのものはそのまま続きます。 事業譲渡……会社の中の特定の事業だけを、資産や契約の単位で売る方法。会社という器(法人格)は売り手の手元に残ります。 たとえるなら、株式譲渡は「家を建物ごと引き渡す」、事業譲渡は「家具や設備を選んで運び出す」イメージです。中小企業のM&Aでは、手続きが比較的かんたんな株式譲渡が多く使われています。 5つのポイントで比べる 売り手として知っておきたい違いを、5つの軸で整理します。 比べる点 株式譲渡 事業譲渡 何が移るか 会社まるごと(包括) 選んだ事業だけ(個別) 手続きの重さ 比較的かんたん(株主の変更が中心) 煩雑(資産・契約・許認可を1つずつ移す) 簿外債務(見えない負債) 引き継いでしまう 切り離せる(買い手が選別) 許認可 原則そのまま続く 取り直しが必要なことが多い 売り手の税金 個人株主の譲渡益に約20.315%(申告分離課税) 会社に法人税・消費税。手元に出す段階でさらに課税されがち とくに差が出るのが、税金と簿外債務です。 税金は「どちらの器か」で大きく変わる 株式譲渡で個人の株主が得た利益(譲渡益)には、申告分離課税がかかります。内訳は所得税15%・住民税5%・復興特別所得税0.315%で、合計20.315%。会社の規模や利益が大きくても税率は一定です(2037年までは復興特別所得税が上乗せされます)。 一方、事業譲渡では、売却するのは「会社(法人)」なので、まず会社に法人税がかかり、対象によっては消費税も発生します。さらにそのお金を社長個人が受け取る段階で、また課税されることがあります。 このため、同じ「会社を売る」でも、株式譲渡か事業譲渡かで手取りが数千万円単位で変わることも珍しくありません。どちらが有利かは自社株の評価額などで変わるので、ここは必ず専門家に試算してもらう部分です。 簿外債務と「競業避止義務」も知っておく 株式譲渡は会社まるごとを引き継ぐので、もし帳簿に載っていない借金や未払い・係争などの「見えない負債」があると、それも買い手に引き継がれてしまいます。だから買い手は会社の中身を細かく調べます(デューデリジェンス)。売り手も、自社の状態をあらかじめ棚卸ししておくと、話がスムーズです。 事業譲渡では買い手が欲しいものだけ選べるので、こうした負債を避けやすい反面、売り手には競業避止義務がかかります。これは「譲渡した事業と同じ商売を、一定期間・一定の地域でしてはいけない」というルールです(会社法の原則では20年)。引退ではなく別事業を続けたい人は、ここを必ず確認してください。 で、あなたはどちらを選ぶべきか 会社をまるごと引き継いでほしい・手続きを軽く速くしたい・許認可を生かしたい……株式譲渡が向いています。 一部の事業だけ手放したい・買い手が見えない負債を警戒している・会社の器は手元に残したい……事業譲渡が向いています。 中小企業の第三者承継では株式譲渡が多数派ですが、事情によっては事業譲渡が正解になることもあります。判断の前に、この3つを進めてください。 自社株の評価額と、簿外債務の有無を棚卸しする どちらの器が税金で有利か、専門家に自社のケースで試算してもらう まず無料・中立の公的窓口(各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センター)で全体を整理してから、民間に進む 器の選び方は、会社の値段そのものより手取りを左右することがあります。急がず、順番に確かめていきましょう。 参考にした公式情報(一次情報) 国税庁「No.1463 株式等を譲渡したときの課税(申告分離課税)」 国税庁「株式・配当・利子と税」 中小企業庁「中小M&Aガイドライン」

2026.06 更新
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