事業承継税制とは?特例措置をわかりやすく(自社株の税金を猶予・免除)
2026年6月時点の情報です2026年6月時点。事業承継税制は「自社株を後継者に渡すときの税金(贈与税・相続税)を、いったん払わなくてよくする」国の制度です。むずかしく見えますが、まず全体像だけ押さえれば大丈夫です。
事業承継税制を使うと、後継者に自社株を渡すときの贈与税・相続税の納税が猶予され、特例措置なら全株式・100%が対象になります。ただし「猶予」であって「免除」が確定するのは後の話。そして特例措置を使う入口が、2027年9月30日までの「特例承継計画」の提出です。
そもそも、何の制度なのか
会社を継ぐとき、いちばん重くのしかかるのが「自社株にかかる税金」です。先代が持っていた株を後継者が引き継ぐと、その株の評価額に対して贈与税(生前に渡す場合)や相続税(亡くなって引き継ぐ場合)がかかります。株の評価額が大きい会社ほど、税金も大きくなります。
そこで国がつくったのが事業承継税制です。一定の要件を満たせば、この贈与税・相続税の納税をいったん猶予し、最終的に後継者が亡くなるときなどに免除される。これが制度の幹です。むずかしい言葉が並びますが、「継ぐときの株の税金を、払わなくてよくする仕組み」と捉えてまず十分です。
「一般措置」と「特例措置」がある
この制度には2つの入口があります。もともとある一般措置と、平成30年(2018年)の税制改正で10年間限定で設けられた特例措置です。特例措置のほうが、圧倒的に有利です。違いを表にまとめます。
| 項目 | 一般措置 | 特例措置(有利) |
|---|---|---|
| 対象になる株式 | 全体の3分の2まで | すべての株式(制限なし) |
| 相続税の猶予割合 | 80%(実質、約53%まで) | 100%(全額) |
| 贈与税の猶予割合 | 100% | 100% |
| 後継者の人数 | 1人まで | 最大3人まで |
| 雇用を守る要件 | 5年平均で8割維持(未達は取消) | 実質ゆるめ(未達でも理由を報告すれば取消にならない) |
| 事前の計画書 | 不要 | 必要(特例承継計画) |
| 期限 | なし | あり(後述) |
とくに大きいのが、相続のときです。一般措置だと「3分の2まで × 80%」で、実際に猶予されるのは約53%にとどまり、残りはふつうに納税が必要でした。特例措置なら全株式が100%猶予の対象になります。「特例承継計画を出しておくかどうか」で、後の税負担が数千万円単位で変わることもあります。
特例措置には「期限」がある(ここが要注意)
特例措置は10年間限定の制度で、入口に2つの期限があります。
- 特例承継計画の提出期限……もともと2026年3月31日まででしたが、2027年9月30日まで延長されました。
- 実際に贈与・相続を行う期限……2027年12月31日まで。こちらは延長されない見込みです。
気をつけたいのは、「提出が延びた=まだ余裕」と読んでしまうことです。延びたのは計画書の提出だけ。実際に株を渡す期限(2027年12月31日)は据え置かれたままです。計画を出してから実際の承継までには準備もかかります。期限の詳しい整理は、期限の専用記事でも解説しています。
「使えばお得」だけではない(売り手として知っておくこと)
有利な制度ですが、入る前に知っておくべきこともあります。
- 猶予であって、即免除ではない……要件を満たし続けてはじめて、最終的な免除につながります。
- 手続きが続く……認定を受けた後も、年次報告や継続届出など、続けるべき手続きがあります。
- 途中で要件を外すと打ち切り……猶予されていた税金を、利子税とあわせて納めることになる場合があります。
だからこそ、「節税になるらしい」と急いで飛びつくより、自社株の評価額や後継者の状況を整理したうえで判断するのが、売り手にとって損のない順序です。
で、あなたは何をすべきか
- 自社株のおおよその評価額を把握する……税負担の規模が見えると、制度を使う価値も判断できます。
- 特例措置を検討するなら、2027年9月30日までに計画提出……入口の期限です。逆算して動き始める。
- その前に、税理士や公的窓口に相談する……認定支援機関(税理士など)の関与が前提の制度です。中立・無料の公的窓口(各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センター)から始めるのも一つの手です。
事業承継税制は、急いで決める制度ではありません。まず全体像を知り、自社にとって本当に必要かを、落ち着いて見極めることから始めてください。
参考にした公式情報(一次情報)
- 国税庁「法人版事業承継税制」(制度の定義・特例措置/一般措置・猶予割合)
- 中小企業庁「法人版事業承継税制(特例措置)」(認定手続き)
「税金がゼロになる制度」と短絡しないことが大切です。これは納税を猶予する制度で、要件を満たし続けてはじめて免除につながります。途中で要件を外すと猶予が打ち切られ、利子税がつくこともあります。使うかどうかは、自社株の評価額・後継者の有無・将来会社を売る可能性まで含めて、税理士など専門家と一緒に判断してください。
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ほじょをナビで探す →これは一般的な解説です。制度の適用可否や金額・窓口情報は個別の状況や時期で異なります。具体的な判断は税理士・専門家、または各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターにご相談ください。最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。